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寄生虫症について

乳用牛・肉用牛の寄生虫病:生産現場で頻繁に確認される寄生虫および寄生虫感染によって引き起こされる問題点について

●外部寄生虫


放牧場と牛舎周辺の両方で観察される外部寄生虫としては、疥癬ダニとシラミが挙げられます。

  • 疥癬ダニ:日本では大きく分けて牛穿孔ヒゼンダニ(ザルコプテス)と牛食皮ヒゼンダニ(コリオプテス)の 2種類が観察されます。

    牛穿孔ヒゼンダニ(ザルコプテス)は牛群全体への伝播が早く、皮膚の薄い首筋、尾の裏側、大腿部および乳房周辺の寄生が特徴的で、激烈な掻痒感をもたらし、重症では予後不良です。

    牛食皮ヒゼンダニ(コリオプテス)は牛群全体への汚染というよりも、群中に 1~ 2頭の陽性個体がいる場合が多く、掻痒感もやや軽いことが確認されています。寄生部位も尾根部、乳房の後肢に近い後ろ側が多発部位と言われております。

  • シラミ:シラミの発生は冬季と梅雨時に多く夏季には低下します。牛体への依存性が高く、伝播は牛どうしの接触によるため、群飼の時に効率の良い駆虫を実施することが望まれます。特に、牧野に放牧された牛がシラミに感染し、舎飼いに戻された時に牛舎内での汚染源になりますので、放牧期間中または下牧時の駆虫は効果的です。また、出来るだけ一斉投与によって駆虫することが効果的です。

     


    a. 牛の体表に寄生するウシハジラミ(白黒反転)
    b. ウシハジラミの成虫(白黒反転)
    c. ウシハジラミの卵(白黒反転)

放牧場で観察される外部寄生虫としては、ノサシバエとフタトゲチマダニに代表されるマダニが生産性向上の観点において問題です。

  • ノサシバエ:ノサシバエは牧野で観察される、体長 4mmと小さいハエです。放牧牛に対する依存性が極めて高く、駆虫プログラムの実施は効果的です。ノサシバエは昼夜を問わない連続的な吸血を行い、そのためのストレスは生産性に大きな弊害を及ぼします。また未経産乳房炎の発症にも関与していることが確認されていますので、牧野対策の重要な問題点の 1つであると考えます。

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  • マダニ:小型ピロプラズマ、大型ピロプラズマおよびアナプラズマを媒介することでマダニは重要な駆虫対象の外部寄生虫です。特に注目されているマダニとしては、オウシマダニ(ウシマダニ属;単一宿主性)、フタトゲチマダニ(チマダニ属;3宿主性)およびシュルツェマダニ・ヤマトマダニ(マダニ属;3宿主性)が挙げられます。

 

 

 


●内部寄生虫


生産性に大きな弊害をもたらす消化管内線虫としては、次の種類が挙げられます。公共牧野、舎飼いを問わず、感染状況を虫卵検査で確認し、効率の良い駆虫プログラムを実施することが重要です。

  1. 乳頭糞線虫:南九州で観察された、濃厚感染による舎飼い牛の突然死は良く知られております。公共牧野において入牧後に見られる下痢、舎飼いで見られる子牛の下痢・呼吸器病についても、乳頭糞線虫とコクシジウムの混合感染が問題であることが明らかになって来ております。

  2. クーペリア:放牧牛および舎飼い牛の両方で虫卵検査を実施しますと、大半の場合クーペリアが観察されます。乳頭糞線虫と同様に、コクシジウムとの混合感染が入牧後の下痢、子牛の下痢を引き起こしていることが明らかになって来ております。

  3. 捻転胃虫:第 4胃変位の手術時に観察されることの多い赤虫が捻転胃虫です。発育段階の幼虫および成虫は第 4胃の胃壁に食い込み、吸血しますので牛の生産性に大きな弊害をもたらすものと考えます。虫卵検査で確認されたならば、駆虫することが必須です。

  4. 牛鞭虫:感染能力を持つ成熟卵を牛が摂取することで感染が成立します。群全体での感染や濃厚感染は余り観察されませんが、成熟卵は寒さと乾燥に強く、環境中に長く生残していることが確認されております。濃厚感染したときの病害性は非常に強いので、虫卵検査で陽性であることを確認した場合には、環境の清浄化を考慮した駆虫対策が極めて重要であると考えます。

  5. 牛肺虫:捻転胃虫、牛鞭虫とともに単独でも、その病害性が問題となる消化管内線虫です。濃厚感染は死をもたらすこともありますので、適正な駆虫プログラムの実施が重要です。

  6. オステルターグ胃虫:10年前には、虫卵検査を実施すると必ず観察された消化管内線虫ですが、現在では殆ど見られないようになって来ております。しかしながら、牛の生産性に影響を及ぼす代表的な消化管内線虫であることに変わりはありません。放牧・青草のシーズンには虫卵検査を行い、駆虫プログラムを実施して環境内におけるオステルターグ胃虫の清浄化を維持することが重要です。

     


    a. 露の中で牛の摂取機会を待つ感染子虫(L3)
    b. オステルターグ胃虫と第 4期幼虫(L4)

     



  7. 毛様線虫:公共牧野において他の消化管内線虫との混合感染があると、症状を増悪させ生産性に弊害をもたらします。

  8. ネマトジルス:毛様線虫と同様に、他の消化管内線虫との混合感染があると、症状を増悪させ生産性に弊害をもたらします。


 

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